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「日常に潜むスリル」―2―

鹿子は、制服姿のままで近所のスーパーにやって来た。
お母さんから、夕食の買い出しを頼まれたのだ。
こういうお使いは、今までに何度も経験している。
タマネギ、ジャガイモ、人参、豚肉。
慣れた手つきで、指定された商品を取って、次々と緑色の買い物籠に入れていく。
――そういえば今日の献立聞いてなかったけど、この材料だとカレーとか?けど、シチューって可能性もあるな。
気になってあれこれ予想を立てていた鹿子は、ふと思う。
そういえば、カレーとシチューの違いって何だろう?
材料は、ほとんど一緒よね。
違いって言ったら、溶かすルーが違うくらいで。
っていうか、それだけじゃん。
だったら、シチューをご飯にかけて食べても、カレーをライス抜きで食べても大して変わんないのかな。
あ、そうだ。
「……今日、やってみようかな」
鹿子は、小さな決意を胸にレジに向かう。

どこのレジも混んでいたが、鹿子は一番人が少ない列の後ろに並んだ。
横を見ると、レジの隣でガムが売られていた。
鹿子は、その中の一つを選んで、お使いのついでに籠の中に放り込んだ。
「いらっしゃいませ」
しばらく待って、ようやく鹿子の番がきた。
笑顔で応対した店員さんが、バーコードをスキャンし始める。
その時、後ろの方でチャリンという音がした。
見ると、100円玉が床の上に落ちている。
そのすぐそばに、買った商品を袋に詰めている途中の、40歳くらいのおじさんが立っている。
最初は、その人が落としたんだと思ったが、おじさんは一向に100円を拾う気配がない。
手を止めて、ちらりと視線を落として、100円玉を見下ろしただけだ。
もし自分のなら、すぐに拾って財布に戻すはず。
それをしないということは、落としたのは、きっと別の人なのだろう。
といっても、100円の周りにはおじさんしかいない。
「以上五点で2980円になります」
「あ、はい」
お母さんから預かったお金で支払う。
鹿子が会計を終えても、おじさんは、まだそこにいた。
もう全部買い物袋に入れてしまっているのに、気になることがあるかのように、その場から動かない。
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プロフィール

研究員D

Author:研究員D
「ギリギリ映らない画面端にいるエキストラ研究員」のイメージというのが名前の由来。
基本的に特撮ヲタ。
また、マイナーなものに惹かれる体質。
特撮全般および一部のアニメや漫画(マイナー作品とか古いの)を愛する。

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