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「別れ話」

閑静な住宅地にある一軒家――その一室で、若い男女がテーブルを挟んで向かい合っている。
二人の間には一枚の紙切れが置かれており、それが会話の焦点になっているようだ。
「なあ、もう一度よく話し合おうじゃないか。君は頭に血が上っているんだ。そのせいで誤解しているんだよ」
いくら男が宥めても、女は激しい調子を崩さない。
テーブルを強く叩くと、それが合図であるかのように、烈火の如く口火を切った。
「誤解ですって!私を裏切っておいて、よくそんな台詞が言えたものね。もう情けないったらないわ!」
「とにかく冷静になろう。何を怒っているんだい」
「今さら言うまでもないでしょう!一ヶ月前に、私は最後通告をしたはずよ。あの時のことを、あなたはもう忘れたの!?」
「忘れるはずがないさ」
「そうでしょう!あなたは私と約束したはずよ。もう二度と、あの女には会わないって。それを破ったら、すぐに別れるって言わなかったかしら?」
「もちろん覚えているよ。そして、僕も条件を呑んだ」
「ええ、そうよ」
女は傲然と言い放った。
「だから、あなたの言葉を信じて離婚を思い留まった。でも、もうお仕舞いよ!さあ、早く書類に捺印してちょうだい」
“りこんとどけ”と大きく書かれた紙を掴んだ女は、それを容赦なく男の鼻先に突きつけた。
その時――階下から二人を呼ぶ声が聞こえてきた。
「おやつができたわよ!二人とも取りにいらっしゃい!」
「はーい、ママ!」
同じ幼稚園に通う美佳と勇太は、連れ立ってキッチンに降りていった。

[完]
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研究員D

Author:研究員D
「ギリギリ映らない画面端にいるエキストラ研究員」のイメージというのが名前の由来。
基本的に特撮ヲタ。
また、マイナーなものに惹かれる体質。
特撮全般および一部のアニメや漫画(マイナー作品とか古いの)を愛する。

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