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打ち寄せる波は砂の城を崩す―その10―

――ふう……。あの姉ちゃん、俺が挑発する前から頭に血が上ってたみたいだったが、お陰で上手くいったな。とはいえ、流石に気絶まではしてないか……。
李依を蹴り飛ばした少年は、『プレイグス』が開けた穴から身を乗り出した。
そこから、李依が起き上がっているのが見えた。
だが、顔を上げた李依と、三階から見下ろしている少年の視線が重なった時、李依の身体が傾いた。
がっくりと、そのまま片方の膝を折って、再び地面に手をついてしまう。
さっきの頭部への一撃が思ったより効いているらしく、頭の中が酷く揺れている感じだ。
必死に持ち直そうとするが、身体が言うことを聞かず、力が入らない。
少年の方から見ても、それは分かった。
――お?やっぱり結構効果あったんだな。サンキュー、大山先輩。
観察を続けながら、これからどうするべきかを考える。
あの様子だと、降りて近付いてみても大丈夫だろう。
「……よし。最後の勝負だ。復活してこない内に、こっちから攻める」
考えた末に、少年は、李依を追って外に出ることにした。
彼女が飛び出したのと同じ場所の縁に『ボトム・オブ・ザ・トップ』を掴まらせ、直接下に降りていく。
着地してみると、また状況は変わっていた。
李依が、うつ伏せに倒れてしまっている。
まるで意識がないかのように、全く動く気配がない。
――なんだ?時間差で気絶したのか?いや、まさか……。いくら何でも、そんな都合良くいく訳ないだろ。油断させようって作戦か?
まだ警戒は解かない。
自分の『スタンド』を出したままで、遠くから、じりじりと近寄っていく。
相変わらず、李依は少しも動かない。
「ちょっと良心が痛むけど……」
少年は、『ボトム・オブ・ザ・トップ』に、その辺に落ちていた石を拾わせると、李依の背中に放り投げた。
これで何かしらの反応があれば、本当に気を失っているかどうかを確認する目安になる。
放物線を描いて石が当たった。
しかし、やはり李依は倒れたままだ。
注意して見ていたが、指先が動くとか、そういったこともなく、これっぽっちも反応しなかった。
これでは分からない。
いや、もしかしたら、本当に意識がないのだろうか?
――俺としては、それならそれでいいんだけどな。この間に、さっさと帰っちゃえばいいんだし……。
少年は迷っていた。
遠巻きにして、しばらく立ち尽くしていたが、何の変化も見られない。
もう帰ろうかと入口の方に顔を向けようとした時、一つの考えが脳裏に浮上してきた。
――まさか、死んじゃいないだろうな……。ないとは思うけど……打ち所が悪かったとか、そんな感じの理由で……。マジの全力で蹴ったからなあ……。内出血して脳の血管が詰まるとか、そういう話を聞いたことあるし……。
そう思うと、急激に不安になってくる。
自分は確かに、この女を攻撃したが、それは正当防衛であって、あくまでも身を守る為に過ぎなかった。
ましてや殺そうなどとは考えもしなかったのだ。
有り得ないことだとは思うが、もし、万が一にも死んでいたなら、自分は犯罪者になってしまうではないか。
――冗談じゃねえよ……。いやいや、大丈夫だって。ただ気絶してるだけさ。大丈夫、大丈夫……。だって有り得ねーだろ?死ぬとかさ……。
そうやって自分に言い聞かせてみても、不安は消えない。
実際の所はどうだろう。
まともに『スタンド』を使ったのは、今日が初めてだった。
そのせいで手加減が出来なくて、つい勢い余って、“やりすぎてしまった”――こういうことも十分に考えられるのではないだろうか?
このまま立ち去ったとしても、この女が死んでいるのか、それとも生きているのか――ずっと気にしていなくてはいけなくなる。
ニュースや新聞を見る度に、心臓がバクバク鳴ったりするだろう。
まさに犯罪者の心境だ。
そんなのは嫌に決まっている。
精神的健康を保つ為には、やはり、どうしても確認しておかなくてはいけない。
せめて、ちゃんと呼吸しているかどうかが分かれば、安心して家に帰れる。
「クソッ、仕方ない……」
少年は、一歩、また一歩と足を踏み出した。
そうして少年は、横たわっている李依の、すぐ側まで近付いた。
呼吸しているかどうかを調べる為には、もう少し接近しなければならない。
だが、それをすれば、間違いなく彼女の攻撃有効範囲内に入ってしまう。
少年は悩んだが、結局は自分の安心の方を選んだ。
更に二歩、三歩と、おそるおそる李依に近付く。
「うッ?」
突然、少年の足が止まった。
そして、それは彼の意志による行動ではなかった。
何かが少年の右足首を掴んでいる。
李依の身体から伸びている、『ザ・プレイグス』の腕だった――。


【前回の時に次で決着とか言ってたがスマン。ありゃウソだった……。】
【思いの他長くなってキリが悪くなってしまったので、次回で最後になります^q^】
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研究員D

Author:研究員D
「ギリギリ映らない画面端にいるエキストラ研究員」のイメージというのが名前の由来。
基本的に特撮ヲタ。
また、マイナーなものに惹かれる体質。
特撮全般および一部のアニメや漫画(マイナー作品とか古いの)を愛する。

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