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第12話「ドクロのペンダント」

「やみ子ーっ!やみ子ーっ!?どこにいるのーっ!?」
いくら呼んでも、返事はかえってこなかった。
すっかり焼けてしまった森の中に、悲しい声がいつまでもひびいた……。

「はぁ……」
頭に紫色のリボンをつけた小さな女の子が、沼のほとりにある大きな木の下で休んでいる。
その子の首には、ぶきみなドクロのペンダントがぶらさがっていた。
それは、月の光を受けてにぶく光っている。
「もう疲れた……」
女の子は、なにも覚えていなかった。
自分の名前も、なぜ自分がここにいるのかも分からなかった。
はっと気付いた時、目の前にあったのは、くるったように燃えさかるほのおの海だった。
そこから逃れるために必死で走った。
火が消えた後も、女の子は森にもどろうとはしなかった。
もしかしたら、また同じような目に合うのではないかと思ったからだ。
だから、その灰のようになってしまった森から、少しでも遠くにはなれたかった。
「――でも、どこに行けばいいんだろう……?」
女の子は不安でいっぱいだった。
ずっと歩き通しで疲れきっている。
どうすればいいのか、だれかに教えてもらいたかったが、たよれる相手は一人もいない。
持っているものといえば、ドクロのペンダントだけだった。
女の子はそれを見つめるが、もちろん答えてくれるはずはなかった。
ためいきをついて、また歩きだそうと立ち上がる。
その時、向こうの林の中で、男の人のひめいが聞こえてきた。
「だれかいるの!?」
女の子は林の方に走っていった。
おいしげった草をかき分けて、奥へと進む。
しばらく行くと、木が生えていないひらけた場所が見えてきた。
悲鳴のぬしは、もういなかった。
そこにいたのは、やみのように真っ黒な色のかいぶつだった。
目がらんらんとかがやき、口にはギザギザしたおそろしい牙がならんでいる。
近くには、さっきまで男の人がくわえていたたばこが一本落ちていた。
――見つからないうちに逃げよう。
女の子は、こっそりと出ていこうとする。
ところが、気配を感じたかいぶつは、あっという間に先回りして女の子の前にたちふさがった。
「わあっ!?」
おどろいた女の子は地面にたおれてしまった。
そのひょうしにリボンがほどけ、はらりと落ちた。
かいぶつが少しづつ近づいてくる。
もう逃げられない。
女の子は、ただふるえていることしかできなかった。
腕を伸ばしたかいぶつが、おびえる女の子をつかまえようとする。
――だれか……助けて!
きゅっと目をつぶった女の子が心の中でさけんだ時、ドクロのペンダントが強い光をはっし、かいぶつの手がはじかれた。
ひるんだかいぶつは、すばやくとびのいて、後ろに下がった。
どうやら、このかいぶつはペンダントを怖がっているらしい。
女の子はペンダントを首から外し、夜空にかかる満月にかざした。
月に照らされたペンダントの光は、いっそう激しさをましていく。
それを見たかいぶつは、今度は向きをかえて逃げだした。
「おまえなんか……どこかにいっちゃえ!」
にぎったペンダントを投げつける。
どういうわけか、体がかってに動いたのだ。
まるで、だれかに教えられたかのように……。
女の子の手から放たれたペンダントは、ぐんぐんスピードを上げて、かいぶつの背中にぶつかった。
この世のものとは思えないさけびごえがしたかと思うと、かいぶつはペンダントの中にすいこまれていった。
やがて光が消えたペンダントをひろい、また首にかける。
なにもたよれるものがないと思っていたけど、これだけは力になってくれるんだ。
女の子は、そう思った。
それと一つだけ思い出したことがあった。
自分の名前だ。
「あたしは……」

――四年生のサトルが夜道をかけていく。
じゅくの帰り道、後ろから得体の知れないものにおそわれたのだ。
あれはきっと、今うわさになっているお化けにちがいない。
もし追いつかれたら、どんな目に合うか分からない。
ところが、息をきらして逃げ回っている間に、さびしい所まできてしまっていた。
すると、サトルの前の暗がりから、別のだれかが歩いてくる足音がした。
「うわっ!」
それは、紫色の服を着た女の子だった。
声をあげたサトルのことなど気にしていないかのように、お化けに向かって進んでいく。
サトルは、そばにとめてあった車のかげに身をかくした。
「消えちまいな!」
女の子が言ったとたん、なにか光るものが一直線に飛んでいった。
「ぐえええ――っ!」
こわごわサトルが顔を出すと、お化けはいなくなっていた。
そして、女の子――やみ子さんも、またどこかに消えてしまったのでした……。

[完]
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プロフィール

研究員D

Author:研究員D
「ギリギリ映らない画面端にいるエキストラ研究員」のイメージというのが名前の由来。
基本的に特撮ヲタ。
また、マイナーなものに惹かれる体質。
特撮全般および一部のアニメや漫画(マイナー作品とか古いの)を愛する。

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