FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第11話「やみ子さんとよみさん」

二人の中学生が、うわさ話をしながら町を歩いている。
ミサとチサは、幼稚園から一緒で、とても仲がよかった。
今も、そろって学校から帰るところなのだ。
「それでね……あれ?この店、もうなくなったんだ?」
「いまごろ気付いたの~?一ヶ月も前から、つぶれてたじゃん!チサ、おそすぎ」
「へー、知らなかった。でもさあ、この辺の店って、すぐなくならない?」
「たしかに~。出来たと思ったら、つぶれてるし。もしかして、のろわれてるんじゃないの~?」
「まさか。あ、のろわれてるって言ったらさ、この先に古い映画館あるでしょ。あそこに出るんだって……」
ミサとチサは気付かなかった。
二人から少し離れた電柱の上に誰かが座って、夕日に照らされた町を見下ろしている。
女の子だ。
なにかを見つけたらしく、その子がクスリと笑うと、たちまち姿は消えてしまった――。

「これでおしまいだよっ!」
やみ子さんの手から、ドクロのペンダントが放たれた。
矢のような速さで、お化けに向かって一直線に飛んでいく。
ところが、もう少しで命中しようという時に、横から青いリボンが風に乗ってやってきた。
リボンは、やみ子さんとお化けの間に入りこみ、ペンダントをはじき飛ばしてしまった。
「あれは……」
リボンは、見る見るうちに、お化けをぐるぐると取りまいていく。
動けなくなったお化けは、やがて静かに消えていった。
あとにはリボンだけが残っている。
それは、ふたたび宙をまって、やみ子さんの後ろにいた女の子の元にもどった。
「じゃまをして、どういうつもり?」
やみ子さんがふりかえって言った。
その先には、青い服を着て、ピンクのリボンを頭につけた女の子が立っている。
めったに姿をあらわさないと言われている、よみさんだ。
「まあ、そう怖い顔をなさらないで下さい。たまたま通りかかっただけですから……」
「ふん、余計なことするんじゃないよ」
そう言って去っていこうとするやみ子さんを、よみさんが呼び止めた。
「ところで、やみ子さん……。せっかくお会いできたのですし、わたくしとひとつ勝負しませんか?」
「勝負だって?」
「そうです。勝ったほうが花子さんと勝負する……。もちろん受けて下さいますわね?」
そこまで言われては引き下がれない。
やみ子さんは、よみさんを、キッとにらんだ。
「やってやろうじゃないか。ライバルは二人もいらないからね」
勝負の方法は、より多くのお化けを、やみの世界に帰したほうが勝ちということにした。
期限は、夕日と月が完全にいれかわるまでだ。
とりきめが終わると、二人は別々の方向に飛び出していった――。

今夜は三日月だ。
時刻は、すっかり夜になってしまっている。
二人が合流して確認すると、勝負の結果は、ひきわけだった。
「あら、これじゃ決着がつきませんわね」
「それなら、次に見つけたやつを帰したほうが勝ちってことにするよ」
こうして、やみ子さんとよみさんは、いっしょにお化けを探しはじめた。
しばらく行くと、古い映画館が見えてきた。
気配を感じたやみ子さんは、中に入っていき、よみさんも後ろからついていった。
そこらじゅうクモの巣だらけで、床には分厚くほこりがつもっている。
すると、どこからか悲鳴が聞こえてきた。
小さな男の子が、恐ろしい形相をした人の顔がついた火の玉に追いかけられている。
「いたっ!さっさとやっつけてやる!」
やみ子さんは、さっそくドクロのペンダントを投げつけた。
ところが、火の玉は、それをすばやくかわしてしまった。
続いて、よみさんがリボンを投げたが、これも同じように当たらなかった。
なかなか手ごわいお化けのようだ。
「いいかげんにしなよっ!」
何回目かのやみ子さんのこうげきが、ようやくお化けに命中した。
今度は、よけられることを考えて、あらかじめ、わざと狙いを外しておいたのだ。
叫び声をあげたお化けは、ペンダントに吸い込まれていった。

――パチパチパチ。
「さすがは、やみ子さん。おみごとですわ」
はくしゅの音がして、いつの間にかいなくなっていた、よみさんがあらわれた。
やみ子さんは、くちびるのはしを少し上げて、フッと笑った。
「これで勝負はあたしの勝ちだね」
「いいえ。また、ひきわけです」
「そんなわけないだろう。あたしの勝ちに決まって……」
そこまで言って、やみ子さんは、ふと思った。
あの子供……どうしてこんな時間に、こんな場所にいたんだ?
それに、この床……あたしたちの足あとしかついていない。
火の玉のほうの気配が強くて気付かなかったが……。
「ちっ、そういうことか」
やみ子さんが舌打ちすると、よみさんがクスリと笑った。
「どうやら、あの子も……この世のものではなかったようですわね……」

――N町にある古い映画館。
そこには、小さな男の子の幽霊が出るという、うわさがありました……。

[完]
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

研究員D

Author:研究員D
「ギリギリ映らない画面端にいるエキストラ研究員」のイメージというのが名前の由来。
基本的に特撮ヲタ。
また、マイナーなものに惹かれる体質。
特撮全般および一部のアニメや漫画(マイナー作品とか古いの)を愛する。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
現在時刻
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。