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第九章「予兆」―4―

「これは……。ドレイクがやられたとは聞いていたが、お前だったのか……」
東の目が、グリップに引きつけられる。
ザビーではないが、これもライダーの大いなる力を秘めたものには違いない。
思わず手を伸ばそうとしたが、途中で思いとどまった。
「……いや!俺が欲しいのはザビーゼクターだ。ドレイクになっても隊長にはなれん。約束が果たせないというなら、契約はここまでにする」
ザビーゼクターのことはひとまず置いておいて、ここでドレイクグリップを受け取ったとしても、損をすることはない。
しかし今の彼は、力を得ることよりも、有沙を失脚させることの方に執着し始めていた。
日に日に募っていく怨恨が東の心を歪ませ、手段と目的が入れ替わっていたのだ。
あの女の取り澄ました顔を蹂躙し、自分の足下に跪かせてやりたい。
愛と憎しみは表裏一体というが、ある意味では有沙に対する東の強い感情は、愛に近いものだったのかもしれない。
それに、グリップを受け取るのを躊躇う理由が、彼にはもう一つあった。

「これはお気に召しませんか。仕方ありませんね。――ところで」
芹沢は肩を竦めて、再びグリップを懐にしまった。
「この辺りで下らない遊びは止めて、現実を直視してはいかがですか?」
話が移るとともに、声の調子が、がらりと一変した。
有無を言わせない迫力を持った凄みのある声だ。
「なに?」
「仮にザビーゼクターを入手しても、あなたには使えないということですよ」
芹沢が立ち上がる。
椅子から離れて、窓の方に歩いていく。
眼下に、行き交う人々が見えるが、この内の何人が本当の人間なのだろうか。
「自分でも分かっているでしょう。あなたはザビーにはなれない。もちろんドレイクにもなれない。それを認めたくないから、ゼクターを手に入れることばかりにこだわって、最も大事な部分から目を背けている」
東は、芹沢の背中を睨みつけた。
「ふざけるな!!ゼクターさえあれば俺は……」
「なら、今ここで変身してみせて下さいよ。出来るのでしょう?」
振り向いた芹沢が、ドレイクグリップを東に突き出した。
東は、それを見つめるが、いざ出されると、取ることが出来ない。
もし変身出来なければ、資格者の資質がないことがはっきりしてしまう。
ドレイクとザビーでは必要とされる資質が異なるにせよ、それを認めるのが恐ろしかった。
隊長代理から降ろされた時の記憶が、まざまざと蘇る。
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研究員D

Author:研究員D
「ギリギリ映らない画面端にいるエキストラ研究員」のイメージというのが名前の由来。
基本的に特撮ヲタ。
また、マイナーなものに惹かれる体質。
特撮全般および一部のアニメや漫画(マイナー作品とか古いの)を愛する。

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