FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第九章「予兆」―2―

「それにしても、ライダーの力は凄いですよね」
新堂が言った。
「だな。あれこそ百人力だ。お陰で、俺達も随分と助かってる」
木口も同意した。
マスクドライダーの活躍ぶりは何度も見ているが、その度に思う。
多くのサナギ体、そして強力な成虫をも、たった一人で打ち倒していく戦闘力は圧倒的だ。
百人力と言ったが、これは比喩ではなかった。
もしゼクトルーパー百人を集めたとしても、ライダーには太刀打ち出来ないように思えた。
木口や新堂らを含めた戦闘員も、よく戦っているとはいえ、彼らの力はライダーの足元にも及ばない。
「……もし自分がライダーになれたらって、考えたことないですか?」
「そりゃあるさ。あれを見た人間なら、誰でも一度は思うんじゃないか?ま、無理な話だけどな」
「なんて言うか……自信なくしちゃって。ライダーがいれば、ゼクトルーパーなんていなくても……」
そこまで言って、新堂は自分が言ったのが木口も指す言葉だと気付いて、慌てて謝った。
「す、すいません!」
「気にすんな。例えば……」
木口は、少し考えてから続けた。
「ライダーは数が少ないだろ?いくら強くても、同時に離れた所には行けない。そこで俺達の出番だ。さっきだって、俺達がいなかったら、ワームを逃がしてたかもしれない。ライダーがいれば万事解決って訳じゃないのさ」
「なるほど……。そう……ですよね」
新堂は一応納得した。
能率的かつ素早く、ゼクトルーパーを広範囲に展開し、最も戦闘が激しい場所にライダーを配置する。
このように電撃的な制圧作戦は、ZECTの基本戦略の一つだ。
通常の哨戒、偵察任務などと同じく、ゼクトルーパーがいなければ成り立たない。

「まあ、考えてもどうしようもない事ってのはある。お前も、あんまり悩み過ぎてると持たなくなるぞ」
新堂の肩を叩きながら、木口が忠告した。
考えるのは大事だが、程度というものがある。
度が過ぎると、抜け出せなくなって、ろくなことにならない。
――何事も、程々が大事だってことさ。
新堂の姿に昔の自分を重ねた木口は、過去を思い出していた。
力不足による不甲斐なさが嫌になったことは、今までに何度もあった。
特に、身近にいた有沙の存在が、彼に、それを痛感させたのだ。
有沙は、義理の父から綿密な手ほどきを受けている。
生来の運動神経も良く、戦闘においては男の自分よりも優秀だ。
一般隊員として同じチームに所属していた頃から、彼女は肩を並べようとしても常に上を行ってしまう女だった。
その背中に追いつけない自分に嫌悪を感じ、方向違いの嫉妬心を抱いていた経験もある。
しかし、それはもう終わったことだった。
悩んでいる内に“俺には追いつけないんだな”と悟った。
有沙がザビーになったのを知った時も、悔しさは微塵もなかった。
俺には、俺にしか出来ない事がある。
それを精一杯やろうと決めたからだ。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

研究員D

Author:研究員D
「ギリギリ映らない画面端にいるエキストラ研究員」のイメージというのが名前の由来。
基本的に特撮ヲタ。
また、マイナーなものに惹かれる体質。
特撮全般および一部のアニメや漫画(マイナー作品とか古いの)を愛する。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
現在時刻
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。